決して滅びないもの   加藤 誠

クリスチャン作家の椎名麟三は「言葉のいのちは愛である」と言いました。人は「ことば」を食べて生きる存在です。この世界に生まれた赤ん坊は、両親をはじめ、周りの人たちから愛の込められた「ことば」をたくさん注がれて、生きる力を引き出され、その人格が育まれていきます。逆に愛のない「ことば」は、人の心を引き裂き、打ち砕き、生きる力を奪います。ナイフがなくても人を殺すことはできてしまうのです。

聖書は、わたしたち人を真に生かすものは「神の愛」であると繰り返し語ります。人の愛は不純なものが混ざっているために、愛しているつもりが相手を傷つけ、その関係を深く歪めることが起こる。みんなが愛を求めているのに、相手を生かし、自分が生かされる「ほんとうの愛」を知らないので、わたしたちの間には毎日のように悲しみが生まれ、涙が流されるのです。

 

「それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つはいつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。」(第一コリント13・13)

使徒パウロがここで「いつまでも残る」と語っているのは、一般的な信仰・希望・愛のことではありません。「イエス・キリストの信仰・希望・愛」のことです。間違っても、わたしたち人間の信仰・希望・愛ではない。そこには不純なものがいつも混ざっているゆえに、必ずすたれるからです。しかし、その未熟なわたしたちがキリストの信仰・希望・愛につなげられて、神に対し隣人に対し、何がしかの小さなお手伝いをさせてもらえるとき、その小さな働きはいつまでも残るものとなる。ここにあけぼの幼稚園の働きの意義があります。

この光栄な小さなお手伝いを、心こめて担わせていただきたいのです。