巻頭言「主イエスの恵みを生きる」~スチュワードシップ①~加藤 誠

 九月の五回の主日を通して「スチュワードシップ」について聖書から聴いていきましょう。「スチュワード」の原意は「管理人」ですが、新約聖書では「神の恵みの管理人」という意味です(例:第一ペトロ4・10)。私たちは神から「さまざまな恵み」をいただいていますが、それは「わたしが好きなように生きるため」ではなく、「神の恵みとして善く用いるため」です。

 イエス・キリストは神のスチュワードとして、十字架の最期まで誠実に歩み通されました。その公生涯のはじめに主イエスは荒れ野で悪魔の誘惑を受けます。主イエスは「奇跡を起こす力」をはじめ素晴らしい賜物を神から受けていましたが、悪魔は「それらを君自身のお腹を満たし、人びとの称賛を得るために、お金を儲けるために使ったらどうだ?」と誘ったのです。主イエスはその誘惑をはっきり断り、「神の恵みは、神の御言葉に仕えるため、神の栄光をあらわすために用いて生きる!」と明言されました。

 クリスチャンは、この主イエスに従って生きる者です。パウロはクリスチャンの命を「古い自分に死んで新しい命を生きる」「肉において死んで、キリストと共に復活の命に生かされる」と語りました(ローマ6・3以下)。大切なことは「死ぬ」ことです。「死ぬ」とは「自分はこういきたい、こうありたい」という「我を捨てる」ことであり、「自分の罪(非、限界、弱さ)を認めて、「キリストの恵みのみ」の信仰を生きることです。「自分の力」で生きるのではなく「聖霊の注ぎ」に生きることです。

 ただしそれは決して「禁欲主義」に生きることではなく、「主イエスの恵みを生きる、喜びの道」なのです。聖書から日々「主イエスの恵み」を受け取りながら、主イエスに従っていきましょう。