賛美する自由、祈る自由   加藤 誠

沖縄の普天間基地前では毎週月曜の夕方「ゴスペルを歌う会」が開かれています。小さな、ゆるやかな集まりです。が、神への信仰と希望に支えられた賛美が毎週ささげられ続けています。一年半前にこの集まりが始まった経緯を普天間バプテスト教会の神谷武宏牧師が教えてくださいました。「2012年9月、オスプレイ配備反対の沖縄県民集会に10万人以上の人々が集まり、県知事とすべての市町村長たちが反対表明したにも関わらずオスプレイ配備は強行された。この国には民主主義はない、全県挙げての民意も無視される現実に打ちのめされた。10月6日、普天間教会付属保育園の運動会の朝。開会礼拝でオスプレイのことを祈ろうかと思ったが、座り込みを続けてきた体は疲れ果て、祈る気力も勇気も残っていなかった。けれども園児の一人が『今日はオスプレイが飛ばないで、無事に運動会ができますように』と祈ったのだ。その姿に教えられ大いに励まされた。どんな時にも祈ること、賛美をささげることは止めてはいけないと、基地前でゴスペルを歌う集いが始まった…」。

 

教会は、イエス・キリストに従う群れとして、主イエスがどのように祈り、願い、行動されたのかを繰り返し聖書に聴き続けます。バプテスト教会の場合、牧師だけが特権的にそれを聴きとるのではなく、教会員一人ひとりが聖書に尋ね求め、対話し、考え続けることを大切にします。どんなに政治的・宗教的抑圧が激しい時代を迎えても、賛美し、祈る自由は決して売り渡さない。何を信じ、何を最高の価値として選び取るかは、基本的人権の中で最も大切にされるべきもの。にこやかに、穏やかに、自らが信じるものを表現し続けていくわたしたちでありたいと願います。2月11日は「信教の自由を守る日」です。