交わりを創り出す力 ~聖霊の賜物②~   加藤 誠

聖霊は、イエスと父なる神を一つにする親しい交わりです。イエスは言われました。「わたしが父の内におり、父がわたしのうちにおられ」(ヨハネ14・10)、「わたしと父とは一つである」(ヨハネ10・30)と。主イエスがわたしたちに与えようと望んでおられるのは、この一致であり、それは聖霊の贈り物です。ですから、聖霊を受けて生きるとは、イエスと父なる神との交わりのうちに招かれて生きることです。(ヘンリ・ナウエン『今日のパン、明日の糧』より)

 

聖霊は、わたしたちのうちに交わりを創り出します。神と人とをつなぎ、人と人とをつなぐのです。それは決して支配し、命令し、号令を下す力ではありません。たとえば聖霊は、神を「アッバ、父よ」と呼ぶ親しい関係にわたしたちを招きます。「アッバ!」とは、幼児が父親を呼ぶときのアラム語で、日本であれば「パパ!」とか「おとうちゃん!」にあたるものですが、それほど神に対して安心し信頼して心のうちをぶつけることができる、親しい関係に招き入れてくれるのが聖霊なのです。

 

聖霊により、神に向かう心の窓が開かれ、親しみと信頼をもって神に祈ることができた時、わたしたちは、他者との関係において「少しでも自分が上に立とう」とか「相手に自分を認めさせよう」という「力み」から解放されます。人と人との間に働く神の愛を信じることができるようになるからです。それゆえ使徒パウロは、聖霊の結ぶ実は「愛、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制」であると言いました(ガラテヤ5・22)。

聖霊は、交わりを創り出す力なのです。