『私は誰になっていくの?』という本を手にしました。著者はクリスティーン・ボーデンという女性です。オーストラリア政府の上級行政官として多くの部下をもつ仕事をしていた彼女は、四六歳でアルツハイマー病の診断を受け、余命わずかな年金生活者になります。しかし、その数年前に導かれたイエス・キリストの信仰に支えられて、彼女はアルツハイマーという困難な病気と向かい合い、三人の娘のシングルマザーとして生きるのです。彼女は今日が何曜日で、昼食に何を食べ、昨日は何をしたのかを覚えていることができません。しかし、いずれ書くことも読むことも娘たちと会話もできなくなってしまう前に、彼女自身が病と共に歩んだ感情的、身体的、そして精神的な旅について書き記したいと願い、この本を著しました。
特に本の後半部分は、どのように彼女が神に支えられたかの「証し」に満ちています。彼女は言います。「クリスチャンになれば、すべてがよくなるというようなものではない。それでは、まるで神が人生の悪い所に貼る巨大な『バンドエイド』ではないか。『信じなさい。そうすれば、もう問題は何もない!』と。もしそうなら天国は神をちょっと利用してやろうという人たちでいっぱいになってしまうだろう。神はわたしの病気に貼る『バンドエイド』ではない。神はわたしたちが苦しみの中にあっても心から満足できるようにしてくださり、聖書をよりよく理解し、神の愛により深く感謝し、わたしの人生において神の目的とされるものを受け入れるという、精神的成長に導いてくださったのだ。このほんの三年間の経験が、わたしに真の祝福となった」と。
二〇一六年という新しい年を、「神さま、あなたと共に歩み、あなたの真の祝福を学ぶ日々としてください」という祈りをもって始めたいのです。