巻頭言「あなたがたの間に」加藤 誠

 先週はヨハネ一七章で主イエスが「彼らを一つにしてください」と繰り返し祈られた「一つ」の意味について聖書に聴きました。第一にそれは主イエスに足を洗ってもらわなければならない弟子たちの「弱さ」における「一つ」であり、第二に「神の栄光をあらわす目的」に招かれている「一つ」であること。第三にパウロの手紙などから、多様性を失った「一つ」ではなく、互いの違いを喜び合う「一つ」であり、私たちの「隔ての壁」が壊されて「新しい一人の人」に創り上げられる「一つ」であることを聴きました。 

 今朝も主イエスが私たちをどのような礼拝・交わり・教会に招いておられるのか、ルカ一七章「十人の重い皮膚病の人を癒す」記事に聴きたいと思います。 

 主イエスが十字架に向かう決意をもってガリラヤからエルサレムに向かう途中、ガリラヤとサマリアの「間」の村を通られました(ルカ17・11)。その村は「重い皮膚病」のゆえにガリラヤからもサマリアからも排除された人々が肩を寄せ合い暮らしている集落でした。当時の人々が「神に見捨てられた者たち」とみなしていた集落に、主イエスは足を運ばれます。そこに暮らす人びとが大切な「神の子」「神の作品」であり、その一人ひとりに注がれている神の愛の働きを伝え、彼らを感謝と賛美の礼拝に招くために。 

 その直後にファリサイ派の人びとが「神の国(神の愛の働き)はいつ来るのか」と尋ねた時、主イエスは「神の国はあなたがたの間にある!」(17・21)と答えられました。そうです。神の愛の働きはファリサイ派のあなたがたの「すぐ隣で」、人びとが偏見と差別によって作り出している「ハザマ」で、もう始まっている…と主イエスは語られたのでした。