巻頭言「わたしの平和を与える」加藤 誠

 先週は、インドのプリのモハンティさんたちとご一緒にペンテコステ礼拝の恵みにあずかれたことを感謝します。

 約四十年前、若き日のモハンティ先生と小林洋一先生とがアメリカの神学校で出会い、お二人の友情を通して、何千キロも離れたインドと日本のクリスチャンが結びつけられ主の御名のための協働に招かれてきたわけですが、二千年前、聖霊の励ましを受けて家の扉を開けて外に出ていった弟子たちの戦いの豊かな実りの一つに、私たちも与らせていただいているのだと思いました。

 ただ、福音が人から人に伝えられていくプロセスは、けっして容易なものではなかったこと。そこには大変な戦いが伴ったことを覚えたいのです。

 日曜日の夕食を囲みながら、モハンティ先生のお父さんが信仰に導かれた話を伺いました。ヒンドゥー教徒の家族に生まれたお父さんは、村にやってきたイギリスの宣教師からキリスト教のリーフレットを受け取り、イエス・キリストの信仰を求め始めますが、そのために家族や村の人々の厳しい迫害に遭い、村を出ることを選んでクリスチャンになられたのだそうです。 

 そのとき、お父さんはどんな思いで家族や村をあとにしたのだろうか。その戦いと祈りを想像するとき、胸が苦しくなります。お父さんは息子たちに聖書の信仰を伝え、アメリカでの学びに送り出しました。そこにも簡単ではない戦いがあったことだろうと想像します。

 主イエスを信じて歩むことは、主イエスがこの世界で直面された戦いに私たちも連なることを意味します。その私たちのために主イエスが語られた御言葉「わたしの平和を与える」(ヨハネ14・27)に今朝、聴いていきましょう。