私は人口7万人の小さな町、佐賀県鳥栖市にある、小さな教会に20年間仕えさせていただいてきました。今朝はこの小さな町の小さな教会での出会いの物語を通して、皆さんと喜びを分かち合わせていただきたいと思います。今朝選ばせていただいた聖書の箇所は、マルコ福音書6章6-13節ですが、特に最後の12-13節に絞って語らせていただきたいと思います。
マルコ福音書6章の箇所は、イエスさまがガリラヤ中で宣教の働きを広げてゆくために、弟子たちを派遣する物語です。イエスさまと弟子たちが生きていたガリラヤは夢の楽天地などではありませんでした。人々は、情け容赦のないローマ帝国とヘロデの支配、また、エルサレムの宗教的支配者たちによって幾重にも辛酸をなめさせられ続けていました。平和のかけらはどこにもなく、混沌として、いつも殺意と敵意が充満していました。その中で、小さく弱く貧しい人々は貪られ、見捨てられ、涙を流し、悲しみと絶望に暮れ明日のない人が沢山いました。そのガリラヤでイエスさまは「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と語り、一人で宣教の働きを始めました。今日の箇所を見ると、イエスさまは、自分一人でなく、弟子たちにこの働きを託して共に働こうとしたことが分かります。イエスさまは他者の手、共に働く仲間を求めたのです。
イエスさまが弟子たちに託したことは3つの事でした。「悔い改めさせるために宣教する」こと。「多くの悪霊を追い出す」こと。そして「油を塗って多くの病人をいやす」ことです。これら3つの働きのどれもが「神の国を共に見いだし、喜ぶ」という事につながっているのです。そしてそれは、イエスさまが私たちに託して下さった教会の働きの大切な中味ではないでしょうか。