煉瓦を組み上げた建物、特にアーチ型になっているもの…長崎の眼鏡橋や伊豆の旧天城トンネルなどを見ているとなぜか落ち着く。それらは四角い煉瓦を用い見事な曲線を描き出している。一つ一つは、固く冷たい感じがする角ばった煉瓦が、職人の手によって組み合わされ見事な曲線を描きだす。しかも、それが力学的に最も強い構造だという。
僕らの現実も、実は角張って冷たく固いのかもしれない。でも積み方ひとつで私たちは、全く別の滑らかな世界を体現できる。
名職人の手によって積み上げられた私たちは、一体となり丸い曲線を描き出す。ひとつが大きくて立派である必要はない。大きすぎる煉瓦は困る。それぞれが分を知り適当な大きさで良いのだ。個々の煉瓦は小さいほど曲線は滑らかになる。そして、人の心を和ませる。ここに希望がある。
名職人はイエス様だ。イエス様に積み直しいただこう。
ギクシャクし角ばったこの世界をなめらかな曲線にしてもらおう。お互いが無くてならぬ一個の煉瓦であることを喜び尊重しよう。
ひとつも抜けてはならない。
なめらかな世界を作るために命をも投げ出すこの名職人は、私たちを丸くなめらかな世界へと積み直し、その建物には多く人が憩うようになる。
「煉瓦の教会」。素敵だと思う。