台風一九号が各地にもたらした甚大な被害が明らかになるにつれて増えていく犠牲者の数に胸が痛みます。今も眠れぬ夜を過ごしておられる方々の言葉にならない深い悲しみを神さまが慰めをもって包んでくださるように、また懸命に救援にあたっておられる方々の働きを守ってくださるように祈ります。
さて、ユダヤ教徒の人々が毎週金曜の夜、安息日の晩餐の食卓で必ず歌う賛美歌が「詩編一二六編」なのだそうです。ですから、世界中のユダヤ教徒が暗記していて、そらで歌えるのだとか。それだけユダヤ民族の長い歴史の中で歌い継がれ、深い祈りが込められてきた賛美歌なのでしょう。
「涙と共に種を蒔く人は/喜びの歌と共に刈り入れる。
種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は、
束ねた穂を背負い/喜びの歌をうたいながら帰ってくる」(五、六節)
ここで「涙と共に種を蒔く」とか「種の袋を背負い、泣きながら出て行く」とはどういう状況を歌っているのでしょうか。実はこの賛美歌はバビロン捕囚から解放されたユダヤ人たちが故国に帰還した時に歌われたものです。強制労働から解放された人々は喜び勇んで故国に帰って来たものの、荒れ果てた土地の開墾は過酷を極めました。貧しさの中で懸命に土地を耕し、種を蒔きながら、人々はこの涙が必ずや喜びにつながると信じ励まし合ったのでしょう。
今日の時代に生きる私たちにとって「涙と共に種を蒔く」とは、どのような祈りや働きを重ね合わせて考えることができるでしょうか。今朝も聖書に神さまの慰めと励ましを聴いていきたいのです