平和を尋ね求めよ   加藤 誠

「悪を離れ、善を行え。平和を尋ね求め、追い求めよ」(詩編34編15節)。
これは、『日々の聖句(ローズンゲン)』の今年の年間聖句です。「ローズンゲン」は一七三一年、ドイツの小さな村で生まれました。「ローズング」とは「くじ」を意味し、毎朝、旧約聖書と新約聖書から一節ずつ選ばれた聖句が村人に届けられるのです。やがて一年分の小冊子の聖書日課となり世界中で用いられるようになりました。第二次世界大戦中には、捕虜収容所で過酷な労働を強いられていた人々が毎朝パンの配給の列に並びながら、その日の「ローズンゲン」の聖句を口づてに届け合い、励まし合って生きたと言います。

「平和を尋ね求め、追い求めよ」(Seek peace, pursue it.)。
人が己の利益だけを求めるところに「平和」は実現しません。相手も一緒に、「敵」さえも一緒に生きる道を「尋ね求める」ところに「平和」は生まれます。かつて高度経済成長時代には「日本だけの利益追求」がまかり通りましたが、二十一世紀の今、世界の人々と「一緒に生きる、持続可能な経済活動」を尋ね求めることなしに、日本の明日はないことを示されています。
「悪を離れ、善を行え」(Depart from evil, do good.)。
私たちが生きる世界には「悪」があふれ、私自身の中にも「悪」が根深くはびこっています。イエス・キリストを通し「神の愛」を深く知らされながらも、私の心から「悪」が消えることはありません。そのような私たちがどのように「平和」に向かう道を歩むことができるのか。日毎に十字架の主の「愛と希望と信仰」につながり、試行錯誤ながらも歩む以外ないと思うのです。毎朝パンを求めると同じように神から届けられる命の言葉に養われていきたいのです。