平和への道   ~平和の灯~ 加藤 誠

「あなたのことを『隣人』と呼ばせてください」。

こんな書き出しで始まる『わが親愛なるパレスチナ隣人へ』という本を手にしました。著者はエルサレム在住のユダヤ人、ヨッシー・クライン・ハレヴィ。ユダヤ教徒としてキリスト教やイスラム教との相互理解に取り組み、パレスチナとイスラエルの二つの国家が平和共存する道を模索している人です。

平和共存を可能にする対話のためにハレヴィは次のことが大切だと言います。一つは自分の主張・あり方を美化しない。自分たちも内部にいろいろな葛藤や苦悩を抱えていることをありのまま語ること。二つ目に相手の欠点を探し出し、相手が悪であると決めつける誘惑を避けること。そして一番重要なことは、相手の宗教(信仰)に敬意を持ち、その美しさを知ろうとすること。そして、宗教者自身が自我の問題と取り組む重要性を次のように語ります。

 

「私たちに必要なのは、平和について語る人ではなく、実際に平和を体現している人です。自分自身の霊的にまだ成長していない内面的な部分と向き合わなければなりません。そこに触れられるとイラっとしたり怒ったりして、自分自身が平和の人として成長するのを妨げてしまう部分です。これは一生をかけての取り組みです。…どんな方法を用いるにしても、自己啓発と共に、相手の声に耳を傾けてほしい。自分の考えに一〇〇%の確信を置かずに、疑問の余地を残しておくこと。それが好奇心を育て、相手への共感へと導いてくれます」。

 

今朝は、主イエスが神のビジョン(視野)に人びとを導くために語られた「山上の説教」から、「平和」について語られた言葉に聴いていきましょう。