巻頭言「食べて味わう」広木愛

「やったことないけど、やってみます!」。Aさんの言葉。コヘレトの言葉に通じる響きに聞こえています。

コヘレトの言葉には、神様の知恵が溢れた言葉が記されている。それと同時に、人間の心の葛藤も記されているように思います。この世で生きる中で、絶対に私たちの、私の中にある心の葛藤と、神様から託されているこの世での生きる意味、旧約の時代の人も、ずっと悩みながら生きていたのだと実感します。

コヘレトの言葉の最初は「コヘレトは言う。なんという空しさ、なんという空しさ、全ては空しい」からこの言葉がはじまっています。コヘレトの言葉が生み出された時代の人たちも、ただ過ぎていく毎日に、意味を見出していこうとしていたのだろうと思います。

この数年間、いろんな総会で、これからの教会の伝道をどうするのか…ということがたくさん語られてきました。大井教会が大切にしているバプテスト主義の中で、伝道をどうするのか、というテーマはとっても大切なテーマ。きっと、一人ひとり、信仰をいただいた物語は全く異なるものです。伝道、神さまをどのように伝えるのかということも、きっと、様々なイメージを持っておられるのだろうと思います。それぞれが経験して味わっている信仰への導き。その導きの経験を、だれかに伝えようとすること。その経験を聞いた人が、自分で味わってみたい!と思ってもらうことが証で、イエスさまを伝えることなのだろうと思います。

神さまから手渡される良いものを受け取り、それを味わうこと。一人ひとりが経験した良いものを、説明することは難しいことだけれども、大切なことだと思います。新しい週も、神さまからいただくものを自分で食べて、自分で味わう一週間を共に過ごしてまいりましょう。