巻頭言「礼拝者として生きる 加藤 誠」

一九三一年に大谷賢二牧師が伝道を始めてちょうど九十年の節目の年に、主なる神は大いなる憐れみをもって大井バプテスト教会に新しい礼拝堂を与えてくださった。伝道最初期の借家の礼拝堂から数えると六番目の礼拝堂である。

二〇一四年に新礼拝堂建築委員会が建ち上がって丸七年。ここに至るまでの紆余曲折の道程を一言で語ることは難しい。いったいいくつの図面を田淵先生に描いていただいたことだろうか。誰か一人のアイディアではない。田淵先生だけのアイディアでもない。主なる神が私たちの拙い歩みを最後まであきらめずに導いて下さり、与えられた礼拝堂だと思う。私たちの間で飛び交った意見の一つひとつ、中には厳しい衝突も起こったけれど、今振り返るとそのどれもが必要なものだったし、私たち自身のいろいろな未熟さが露呈されて、「主なる神に信頼し祈ること」を教えられた貴重なプロセスであった。

また教会員だけの祈りと献金ではない。幼稚園の子どもたちも保護者の方たちも、地域の方々もいろいろな形で祈りを届け、応援して下さって与えられた、主なる神を礼拝するための建物。一人ひとりの思いで見たら「もっとこうだったらよかったのに」という部分が目に付くかもしれないが、私たちのちっぽけな頭ではかるのではなく、主なる神のスケール大きなご計画の中で、この礼拝堂が福音宣教に用いられるよう祈っていきたい。

私たちは何のために礼拝堂を建てたのだろうか。共に主の前に静まって御言葉に聴くためであり、共に主を賛美するためである。主イエスと共にこの世界に遣わされ、隣り人と喜びと苦悩と希望を分かち合っていくためである。そのようにして、私たち一人ひとりの人生が「礼拝者」として形づくられていくためであることを、献堂感謝のこの時に深く心に刻みたい。