ビジネスの世界では「無から有を生み出す」つまり「これまでにない新しい価値を生み出す」ことを「イノベーション」と言います。それは「〇から一を生み出すこと」であり、「一を一〇にする拡大や改善」とは異なる、既存の延長線上にはない、まったく新しい製品やサービスの創造を言います。
聖書の信仰で「無から有を生み出す神」を信じたのがアブラハムです。使徒パウロは、ローマ書四章でアブラハムの信仰をこう語っています。
「彼はこの神、すなわち、死人を生かし、無から有を生み出す神を信じたのである。…すなわち、およそ百歳となって、彼自身のからだが死んだ状態であり、サラの胎が不妊であるのを認めながらも…神はその約束されたことを、また成就することができると確信した。」(口語訳4・17、19、21)
アブラハムにとって信仰とは、単に「神がいると信じる」ことではなく、人間の目には「無」(絶望や不可能)にしか見えない状態の中に、「有」(命や希望)を生み出される神の力を信頼して生きることでした。
もっとも、アブラハムは以前から自分でその信仰を持てていたわけではありません。彼はまもなく百歳になる自分の現実を知っていて「養子」という現実的対応で対処しようとしていました。しかし、主なる神はアブラハムをテントの中から外に連れ出し、夜空一面に広がる星を見せながら、ご自身の創造の圧倒的な力を信頼する「信仰」に導いてくださったのでした。
私たちも小さなテントから外に出て、主なる神が創造された星空の下、神の不思議を賛美しながら歩む新しい生に招かれているのです。