巻頭言「求道者ニコデモ」加藤 誠

 ヨハネ福音書には何人もの「名脇役」が登場しますが、ユダヤ教の教師ニコデモはその中の一人でしょう。ニコデモは三章、七章、一九章に登場して、弟子ではないものの、ずっと主イエスをフォローし続けた人物でした。

 今朝の三章でニコデモがたった一人で主イエスを訪ねた勇気に驚かされます。直前の二章で主イエスはエルサレム神殿の「宮清め」を敢行しました。ユダヤ教教師たちは「あのガリラヤから来たイエスは何者か。こんな横暴を許すわけにはいかぬ!」と激怒したことでしょう。が、その中でニコデモは一人だけ違いました。「あのようなことができるのはただごとではない。何かある。直接会って話を聴いてみたい」と、一人でイエスのもとを訪れたのです。

 その最初の出会いは「あなたは教師でありながら、こんなことも分からないのか!」と主イエスからコテンパンにされるという最悪のものであったにも関わらず、ニコデモはその後もイエスに心を寄せフォローし続けたのでした。

 七章では、ニコデモがイエスを擁護するような発言をしたために、教師仲間たちから「お前もガリラヤ出身か!」と非難を受けます。イエスに心を寄せたことで仲間から孤立し、教師の資格を失う危機に追い込まれながらも、ニコデモはイエスの道行きを最後まで見届けます。そして十字架で死なれた主イエスを丁寧に弔うという大切な働きを担ったのでした。

 それはペトロたちのような従い方とは異なりながらも、ユダヤ教教師ニコデモなりの精一杯の求道と信仰の告白だったのではないでしょうか。

 今日、二月十一日は「信教の自由を守る日」です。この時代の中で、自分で感じ、自分で考え、自分で決断し選び取っていく求道の歩みに対する励ましを、聖書から共に聴いていきたいのです。