1931年伝道開始、日本バプテスト連盟に加盟するプロテスタント教会です

お問合せ
地図
教会員
あけぼの幼稚園
メッセージ

巻頭言「死者の魂を清める祈りの力」大井教会員 新田 義貴

 六月、沖縄は慰霊の季節を迎える。人々は二三日の慰霊の日に向けて、各地にある慰霊碑を訪れ祈りを捧げる。戦後最初にできたとされるのが、旧摩文仁村米須にある「魂魄の塔」だ。激戦地だったこの付近には戦後、誰のものとも分からない遺骨が散乱していた。その骨を地元の人々が拾い上げ、一カ所に集めて供養したのが「魂魄の塔」だ。塔には三万五千柱の骨が納められた。ここにはいまだ遺骨が帰らない多くの沖縄の人々が故人の供養に訪れる。

 僕は若い頃から、この摩文仁を訪れるたびに不思議な感覚に襲われてきた。あれだけ膨大な数の人が亡くなった土地であるにも関わらず、なぜか清らかな気持ちになるのだ。そしてひとつの思いに至った。人々が死者を悼む〝慰霊”の祈りが、摩文仁という土地を清めているのではないか。

 そして十二年前、この塔の横で参拝用の花を売る大屋初子さんと出会った。

 六月になるとほとんど毎日ここに立ち、慰霊客に菊の花を売っていた。僕は初子さんのような人々の祈りが、そしてその美しい花たちが、死者の魂を慰めているのだと確信した。そしてそこには、「二度と戦争を起こしてはならない」という沖縄の人々の強い願いが込められている。僕は「あなたの隣人を愛しなさい」というイエスのみことばが沖縄に生きていると感じる。

 戦後八十年を経て戦争の記憶は薄れ、本土の国会議員が歴史を歪曲し沖縄のお年寄りの戦争体験を否定する社会が目の前に現れつつある。

 今こそ沖縄の人々の祈りを受け止められるのかどうか、私たちクリスチャンの信仰が試されている。

 (新田義貴さん監督・撮影・編集の映画『摩文仁mabuni』が六月二一日から公開されています。於 シアター・イメージフォーラム)

関連記事

[clean-login]
PAGE TOP