巻頭言「新しい神殿の幻 加藤 誠」

 七月三十日、融資調達を含めた工事費用が整えられ、松井建設に支払いをし、新礼拝堂の建物の引き渡しを受けました。一階は多目的ホール、二階は礼拝堂兼幼稚園講堂としてこれから大いに用いさせていただくことになります。

昨年の七月末に始まった旧礼拝堂の解体と新礼拝堂建築のすべてのプロセスが守られ感謝の思いでいっぱいです。敷地下から埋設物や井戸跡が見つかるなど想定外のこともありましたが、大岡山建築設計研究所による設計監理、そして松井建設の丁寧な施工により、大きな事故なく新しい礼拝堂の建物が完成に導かれたことを、何よりも主なる神に深く深く感謝いたします。

 新しい建物は、私たちの要望をすべて満たすものではありません。人間的な思いで見るなら、「もっとこうだったら」という部分が目に付くことでしょう。しかし敷地の制約や資金的制約、さまざまな経緯によって導かれ与えられた建物を、主なる神が備えて与えてくださった建物として大切に感謝して受けていきたいのです。建物は大切ですが、福音宣教に決定的なものではありません。初代教会の人びとはさまざまな制約や障害がある中で、時には建物がまったくない時にも大いに喜んで、知恵を働かせ工夫して主を証ししていきました。第一に求められるのは新礼拝堂の建物を主から与えられた器として感謝し受け取り「あなたの御名のために用いさせてください」と祈っていく信仰です。

預言者エゼキエルは廃墟と化したエルサレム神殿を目の前にして、主から示された「新しい神殿の幻」(四十章以下)を語りました。イスラエルの人々の心の中に「命の水が流れ出る新しい神殿の幻」(四七章)が活き活きと示された時彼らは荒廃した地にあってなお主の御名を賛美する信仰に導かれたのです。