巻頭言「懐かしい実習教会」目白ヶ丘教会副牧師 内藤 幹子

 この度は、大井バプテスト教会(以下、「大井教会」)の大切な主日礼拝説教の御用にお招き頂き、本当に有難うございます。東京バプテスト神学校神学専攻科在籍中には、「教会実習」で半年お世話になりました。自分自身の感覚としては「十年前」くらいのことであったのですが、よくよく考えてみるとどうも辻褄が合いません。正確には「二〇〇七年」のことでしたので、あの頃から既に一七年が経過していたことになります。

当時の大井教会は、主任牧師を務めておられた大谷恵護先生の「退任」を控えた最後の半年を歩んでいる時期でした。その「退任」を決議(承認)する教会総会の現場にも身を置かせて頂いていましたが、大きな戸惑いを抱えつつも、なお次の時代へ踏み出してゆこうと誠実に苦闘する教会の姿を間近で見せて頂いたことは、わたしにとっての大きな財産です。

 大井教会では、わたし自身の経験や想像をはるかに超える規模で人が出入りし、活動が展開し、組織が回ってゆく日常が積み重ねられていました。驚くほど緻密に一つ一つの事柄が点検され、共有されていました。それは、イエスさまの福音をたくさんの人と共に頂いていくためであり、教会に連なる一人ひとりに愛と敬意をもって接するためであったように思います。

 あれから一七年、大井教会はきっと様々な変化を重ねながら新しい物語を紡ぎ続けてきたことでしょう。そしてそこに「少しでも教会に、バプテストになってゆきたい」と祈り合い、語り合いながら生きる皆さんの姿は、変わることなく鮮やかに映し出されていることでしょう。