巻頭言「愛で導く羊飼い 加藤  誠」

 教会に一堂に会して礼拝をささげることが難しい今年のクリスマス。小学科はS姉製作の紙芝居によるクリスマス礼拝をオンライン配信します。子どもたちに親しみやすい絵で、新たに書き下ろされた物語の力作です。ぜひ教会のホームページで「教会学校」の「子どもメッセージ」を開いてみてください。

その紙芝居『クリスマス物語』はこんな書き出しで始まります。

「二千年以上の前の世界では、たくさんの人々が戦って殺し合い、弱い人々は苦しめられていました。天におられる神さまは、これをご覧になって大変悲しまれました。『これではいけない。みんなが愛し合う世界が必要だ。国も、人種も、民族も関係なく、一緒に笑顔でごはんを食べることが出来るような世界にしなければ』と、神さまは思われました。『そのためには、羊たちをおいしい水と草のあるところに連れて行く羊飼いのように、人びとを愛で導く救い主が必要だ。わたしのひとりごを、人々に送ろう。彼は、人間と一緒に生きる神になるのだ』…クリスマスのできごとはこうして始まりました」。

 一年前、アフガニスタンで銃弾に倒れた中村哲さんは「平和とは、みんなが一緒に笑顔でごはんを食べられること」と語りました。そのような平和はどうしたら実現できるのでしょうか。まず頭に浮かぶのはお金であり、ごはんが行き渡るための社会システムの変革かもしれません。しかし第一に必要なのは、「真実の愛を学ぶこと」ではないでしょうか。私たちの自己中心の貧しい愛では笑顔どころか毎日悲しみしか生み出せていないからです。お金やシステムの前に、私たちを愛で導く救い主を私たちは切実に必要としているのです。

世界で最初のクリスマス、私たちが何よりも第一に必要としているものを神はおくってくださいました。その真実の愛を大切に受け取っていきたいのです。