巻頭言「御言葉を宣べ伝えなさい」加藤誠

 私たちは主イエスから数えると何世代目のクリスチャンになるのだろうか。主イエスを一代目とするなら、主イエスから直接福音を受けた弟子たちが二代目、その弟子たちから福音を受け取り「福音書」や「手紙」にあらわしたパウロたちが三代目。その「聖書」を通して主イエスと出会った者たちが四代目…。

 主イエスの福音は「聖書」だけでは伝わらない。必ずそこには「伝える人」がいる。福音は「人から人へ」。体温と共にぬくもりをもって伝えられるもの。このわたしに福音が届けられるまでに、どれだけ数多くのクリスチャンの闘いと葛藤の証があったことか、想像してみたいと思う。私たちは一人では信仰をもちえない。祈り、伝えてくれる誰かを必要としているのだ。

 先週、大井教会の礼拝に出席されたウォーカー宣教師夫妻は、わたしの若き日の信仰を励まし祈り続けてくださった大切なご夫妻である。二十代半ばの信仰の未熟なわたしを覚え続け、献身へと背中を押してくださった。ご夫妻がおられなかったら…と時々思うことがあるが、そのウォーカー夫妻の背後にも、若き日の信仰を支えてくれた教会の先輩たちがいたことだろう。

 大井教会においても戦時中、教会活動停止に追い込まれた時、疎開先の農家の納屋で家族で聖書を開き、礼拝を続けた信仰者たちがいたからこそ、戦後に礼拝が再開され、今の私たちにバトンがつなげられていることを想う。

 その一人ひとりの信仰の闘いを支え導いたもの。それが聖霊の働きである。「御言葉を宣べ伝えなさい。折が良くでも悪くても」(第二テモテ4・2)。私たちは「折が悪い」とすぐにへこむ。しかし逆風の時にこそ私たちを御言葉に結びつけ、励ましてくれる聖霊の働き。最初のペンテコステに弟子たちに注がれた聖霊の働きに、私たちも押し出されて御言葉を宣べ伝えていこう。次の「誰か」に福音を手渡していくために。