巻頭言「受け取る喜び、ささげる決意 加藤 誠」

 約一年間の工事を経て新しい礼拝堂を主なる神の御手からいただいた。神さまの憐れみと恵みに対して、ただ感謝、感謝しかない。感染状況を考えて共に集まることはまだ難しいものの、今日のオンライン礼拝から新礼拝堂を使わせていただくことになる。心から主なる神に感謝したい。

昨年七月、コロナ禍の中で私たちは行き詰まっていた。コロナ禍の先行きがまったく見えない中で大きな決断をしてよいものか。私たちは迷いに迷い、総会ではほんのわずかの差で建築が決まった。今から振り返ると、決断できない私たちの背中を神さまがそっと押してくださったとしか言えない。「私たちの祈りと献金で建てました!」ではなく、「主よ、私たちの思いをはるかに超える仕方で、新しい礼拝堂を建ててくださったあなたの御名をたたえます!」と謙遜に祈る者とされたいと願う。そして「主よ、あなたの御名にふさわしい新礼拝堂の用い方を示してください」と皆で祈りを合わせていきたいと願う。

信仰とは、神の大いなる憐れみと慈しみを大切に受け取り、自分にできる精一杯の応答をささげていくこと。

ある牧師が父の死に際して田舎の実家に戻り遺品を整理していたら、自分が首都圏の大学に進学した頃、父が金の工面をいろいろとしてくれていたメモが見つかり愕然としたという話を聞いたことがある。彼は言う。「こんなに苦労をかけて、こんなに愛されていたのに何も気づかなかった。親の愛というものは、あとから知らされるものなのか」と。新礼拝堂竣工に際し改めて、信仰の未熟な私たちに注がれてきた神の大いなる憐れみと慈しみを大切に受け取り、その主の御名を心からほめたたえ、ささげていく決意を共にしたい。