「献児式」は十七世紀に英国に誕生したバプテスト教会が始めた儀式です。
当時の英国国教会では、国民は生まれると同時に「幼児洗礼」を授けられ、神の国の一員とされました。国教会の「洗礼」は「救いの効力ある儀式」(サクラメント)でした。
それに対してバプテストは「バプテスマ自体に救いの効力はない」「バプテスマで神の国に入るのではない」と考えました。ローマ十章から「自分の口でキリストを告白するところでバプテスマは意味がある」と読んだのです。
つまりバプテストは、子どもが生まれた時、その子の意志と関わりのないところで親がクリスチャンにしてしまう道ではなく、親が自分の信じている聖書の福音を子どもに「伝え」、その子が聖霊の導きにより自分の口で告白をする時を「祈りながら待つ道」を選んだのでした。また「子どもがクリスチャンになる前に死んでしまったらどうなるのだ?」という疑問に対してバプテストは「その子の救いはイエス・キリストの十字架の恵みに委ねる」としました。
「信じる自由」の尊重は「信じない自由」の尊重と不可分です。親が子に信仰を強いるのではなく、その子の主体性を認めつつ「祈りながら待つ」。そして自分が大切にしている信仰を言葉にし行動にして「伝えていく」。ここに「信仰の自由」を大切にするバプテストの特徴があります。
「献児式」では、親が子を自分たちの所有物ではなく、神から預かった大切な命として育てることができるよう、神の愛と知恵を祈り求めます。同時に教会は子を賜った家庭に神の祝福を祈り、聖書の御言葉を分かち合いつつ共に歩む覚悟を祈りであらわすのです。