巻頭言「主イエスと共に歩む道 ~祈り~ 加藤 誠」

「祈り」ってなんだろう。「祈り」は神との対話だと教えられているけれど、場面によって、その性格はいろいろ異なるように思う。

 礼拝や集会での祈り。そこに参加している者たちが心を神さまに向けて静まる時間。誰かが代表して祈る、その言葉を聴きながら、その人の神に向かう信仰を分けてもらう。賛美歌を歌うのとはまた違って、心を一つにされる場面。「上手な祈り」よりも、「素朴で真摯な」信仰の友の神さまに向かう祈りを聴いていると、心の中に聖霊の風が吹き込んでくる思いがする。

 二人、三人での祈り。お互いの祈りの課題を覚え合って、誰かのために、また相手のために具体的に祈る。誰かに自分のことを覚えて祈ってもらえるのは、なんだかうれしくありがたい、励ましや慰めをもらう貴重な場面。

 ひとりの祈り。一番難しいかもしれない祈り。集中できず、雑念が入ることもしばしば。神さまの前に静かにゆっくり声に出して祈る。誰かに聞いてもらう祈りではないから上手く祈ろうとしない。「怖いです、不安です、憤りが抑えられません、助けてください…」などなど、正直な思いを祈る。ただただ沈黙だけでもいい。自分の心の奥のドアを開き、神さまとつながるとき。

 主イエスが教えてくださった「主の祈り」を次のように言い換えてみる。

「神さま、あなたに向けて心を開きます。あなたの愛と正しさを注ぎ、あなたの光の中を、あなたの希望に向けて歩ませてください。みこころが天になるごとく地の上になりますように。今日、必要な糧で養ってください。隣り人を赦すことができますように。弱いわたしですから誘惑と試練から守ってください。いつも喜び、たえず祈り、すべて感謝することができますように。アーメン」。