巻頭言「世界「祈祷」週間 加藤 誠」

「もっと宣教師を送ってください。後任の宣教師が来るまで、わたしはこの地を離れることはできません。もしわたしに千の命があったらそれをみな中国の婦人にささげます」。単身、中国の奥地で伝道していた宣教師ロティ・ムーンの熱く燃える伝道の祈りと決意を伝える手紙が米国南部バプテスト婦人部に届くと、早速各地の教会に手紙の写しが送られ、祈りと献金が集められました。

時は一八八八年、今から百三十三年前のことです。

この時からクリスマス前の一週間を「世界バプテスト祈祷週間」と定め、世界のバプテストが世界伝道のために祈り献げてきました。米国では世界伝道に生涯を献げたロティ・ムーンにちなんで「ロティ・ムーン献金」と呼ばれており、その「ロティ・ムーン献金」によって敗戦後の一九五二年、大井教会の旧礼拝堂が与えられたことを今年は特に覚えたいと思います。

もっとも「世界祈祷週間」はその名の通り「献金」推進ではなく、「祈り」の推進を第一としています。インマヌエルの主、イエス・キリストという最高の恵みを受け取った一人一人が何よりも「祈り」において主の御業に参加する。その「祈り」によってレニー・サンダーソン宣教師(大谷レニー先生)の献身が起こされ、先生は日本に派遣されました。「献金」はなく「祈り」がレニー先生に主の霊を注いで、主の恵みを告げ知らせる器としたのです。

「主はわたしに油を注ぎ/主なる神の霊がわたしをとらえた。わたしを遣わして/貧しい人に良い知らせを伝えさせるために」「嘆いている人々に/灰に代えて冠をかぶらせ/嘆きに代えて喜びの香油を/暗い心に代えて賛美の衣をまとわせるために」(イザヤ61・1、3)。

私たちもこの「良い知らせを伝える祈り」に共に加わっていきたいのです。