巻頭言「わたしの命令は平和 ~平和の灯~」加藤 誠

 今からちょうど一年前のクリスマスに、ルワンダの佐々木和之さんが次のようなメッセージを支援する会の会報「ウブムエ」(67号)に寄せています。

 

 イスラエル軍によるガザ侵攻に際しネタニヤフ首相は旧約聖書の「アマレクとの戦い」(サムエル記上一五章)を引用して次のように語った。「行け。アマレクを討ち、アマレクに属する者は一切、滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も…容赦してはならない」。アマレクは古代パレスチナの遊牧民であり、ネタニヤフ首相は聖書の言葉を「神の言葉」としてパレスチナの人びとの大量虐殺を命じたのだ。キリスト教原理主義者は「イスラエル建国は神の意志である」というシオニズム(シオン=エルサレムは神の住む「聖地」と考える信仰)に立ち、イスラエルのパレスチナ侵攻を正当化する人が少なくない。

 聖書をどう読むかは自由であるが、わたしはあえて問いかけたいと思う。

 私たちは戦争をけしかけ、虐殺を命じる神を信じているのか。平和のために働けという神を信じているのか。私たちが信じる神は、暴力の嵐が吹き荒れるこの世界の中で、どのように生きよと呼びかけておられるのか。

 わたしが信じるイエス・キリストを通して示された神は、戦争と暴力ではなく、平和と非暴力の神であると主張したいと思う。「わたしがあなたに与える命令は平和。あなたを支配するものは恵みの業」(イザヤ60・17)。

 

 今日も虐殺、弾圧、戦争が続くこの時、私たち人間の闇のただ中に来られ「剣をさやにおさめ、戦争ではなく平和のために働きなさい」と言われる平和の主イエス・キリストに従い歩む者にしてくださいと祈ります。