巻頭言「その名はインマヌエル ~愛の灯~」加藤 誠

 聖書はイエス・キリストを「インマヌエルの神」(マタイ1・23)と証言しています。その意味は「私たちと共にいる神」。この「インマヌエルの神」とはいったいどういうお方なのでしょう。

 モーセは神から「わたしはあなたと共にいる。エジプトに行き、ファラオの支配からイスラエルを救い出せ」と命じられます。モーセはエジプトで挫折し荒れ野に「逃げた男」でしたが、「私たちと共にいる神」は、失敗し挫折した者を立ち上がらせ、神ご自身の計画の中に用いていかれる方なのです。

 また神の約束の地を失い、バビロンに捕らえ移されて毎日嘆き暮らしていたイスラエルの民に神は語りかけます。「わたしはささやかな聖所となって、あなたたちと共に歩む。この異郷の地で礼拝をささげなさい。ここに暮らす人々の繁栄を祈り、平和に暮らしなさい」と。「私たちと共にいる神」は、私たちがいま置かれている場を恵みの場とし、悲しみと嘆きを祈りと賛美に変え、隣人とつなげてくださる方なのです。

 そしマリアとヨセフ。二人は神の大切な独り子である赤ん坊の親として選ばれますが、「聖霊による懐妊」が二人の間の信頼関係を激しく揺さぶります。それは大きな危機でした。しかし聖霊の働きが二人を神の使命に祈りを合わせる同志に変えていきます。「私たちと共にいる神」は、信仰薄き者を励まし、私たちを希望の約束に向かって協働する者に変えてくださる方なのです。

 

 このクリスマス、「私たちと共にいる神」の愛の約束と、チャレンジと、慰めと励ましを、大切に心の真ん中で受け取っていきましょう。