巻頭言「ささかやな確信」加藤 誠

 あけぼの幼稚園や教会学校につながってきた二十歳の若者たちを迎えての礼拝を感謝します。夢を抱き、前進していく若者たちの姿はまばゆいものがあります。固定観念にしばられることなく「これ」と思った道にぜひチャレンジしていってほしいと、心から応援したいと思います。

 もっとも聖書では、夢を抱いて歩むのは若者だけではありません。

 「老人は夢を見、若者は幻を見る」(ヨエル3・1)。

 神さまは年齢に関係なく、どんなに歳を重ねた者にも夢を与えて、ご自身の働きに招いてくださいます。教会には歳を重ねてもなお、夢を抱き、祈りを抱き歩む方たちが与えられているのはなんと幸いなことでしょうか。

 

 今朝は五年前にアフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲さんがしばしば語っておられた「ささやかな確信」という言葉に込められた祈りについて考えてみたいと思いました。

 「人は愛するに足り、真心は信じるに足る」。

 歴史も文化も宗教もまったく異なる人びとと、中村さんは命を分かち夢を共有して生涯を歩み通されました。中村さんの言葉は、しなやかで、あたたかで、それでいてズシンと心に重く響いてきます。神さまから与えられた夢を遠くにしっかり見つめながら、目の前の一歩、目の前の一人に全力をそそがれた足跡は、今日も荒野を歩く人びとの灯であり続けています。

 願わくば「自己実現で終わる夢」ではなく「神さまにつながる、みんなが笑顔になるような夢」を胸に、「自分にできる/なすべき一つ」をささげる歩みを祈っていくことができますように。