巻頭言「こども食堂と五千人の食事」平野 健治(平塚バプテスト教会)

「しかし、イエスは言われた。『あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい。』」(ルカによる福音書九章一三節)

 平塚教会では「こども食堂」を月二回開催しています。一食二百円で誰でもお腹いっぱいおいしい食事を食べることが出来る食堂です。この食堂は貧しい人だけではなく、誰でも利用できる地域交流の食堂です。いろいろな方が食堂を利用し、利用者は五千人を超えました。地域のボランティアさんがたくさん来ます。またパンや魚など、様々な食材の寄付があります。関わる人を見ていると、一緒に食事をするということは、みんなをちょっとずつ楽しく、元気にするのだと感じます。一緒に食事をしているのを知ると、何か分かち合いたいという気にさせるのだと感じます。きっと私たちが思っている以上に、一緒に食事をすることは大事なことです。それは私たちに生きる活力を与えてくれるのです。

 今日の聖書の場面は私たちの食堂と同じことが起きていると思います。地域の人も、教会の人も、もともとはみんな一人で食べればよいと思っていました。食べ物が足りないと思っていました。しかし私たちには不思議にパンと魚が与えられました。そして五千人分の食事ができました。私たちの教会はこの活動を教会の大事な「宣教」と位置付けています。私たちはイエス様から「あなたがたが食事の準備をしなさい」という大食堂命令をいただいているのです。

 聖書のこの食事はとても楽しくにぎやかだったはずです。私たちのこども食堂のにぎやかさときっと同じだったはずです。この聖書の場面もみんなが元気になる、みんなが笑顔になる、分かち合う、生きる力が湧いてくる、手伝うことによって自分の力が発揮できる、そんな食事だったのではないでしょうか?

私はこのような食事が教会から世界に広がってゆくことを願います。