巻頭言「ここに愛がある 加藤 誠 」

大井バプテスト教会の私たちが、現礼拝堂を通していただいてきた大きな恵みの一つに賛美がある。毎週の主日礼拝、教会学校、そして幼稚園に集う人びとや子どもたちによって実にたくさんの賛美歌が生み出され、歌われ、演奏されてきた。その賛美の一つひとつは「ここに愛がある」と聖書に証しされているイエス・キリストの恵みへの応答に他ならない。

「主を賛美するために民は創造された」(詩編102・19)とあるが、日々の暮らしの中で、家事をしているとき、通勤のとき、ひとり眠れない夜、涙あふれる時を過ごすときに、心に思い起こされ口ずさむことのできる賛美が与えられていることは何という幸いだろうか。

あけぼの幼稚園や教会学校、そして子どもコーラスの子どもたちが大きな声で楽しそうに、大井教会で生まれた賛美歌を歌っているのを聴くとき、世界の最初のクリスマスに、飼い葉桶で生まれた赤ん坊を見つけ野原を賛美しながら帰っていった羊飼いたちの姿が重なる。彼らは、それぞれの暮らしの中に、時に厳しい現実の中に、確かに伴ってくださり神の慈しみと希望につなげてくださるインマヌエルの主を大切に受けとり帰っていったのである。

 「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さって、わたしたちの罪のためにあがないの供え物として、御子をおつかわしになった。ここに愛がある」(第一ヨハネの手紙四章一〇節:口語訳)。

 私たちの愛は出発点になりえない。「ここに愛がある」と聖書に証しされているキリストの愛のみが、暗闇に光を、絶望の中に希望を、憎悪と不信の間に慈しみと信頼を生み出す。この礼拝堂の隅々にしみ込んだ人びとの賛美を想いながら、これからも神の愛への応答を心から精一杯にささげていきたい。