今がどのような時でも   藤井秀一

 わたしの住む山形県酒田は、今、山々が美しく色づいています。

そして短い秋が終われば、長い冬がやってきます。今年もすでに冬の使者である白鳥が、最上川に飛来しました。冬に日本海から吹き付ける強い北風。それは雪を伴い猛吹雪となると、目の前の世界を真っ白に染めあげます。

 9年前。東京から、誰も知る人のいない酒田に移り住んだわたしたち家族は、初めて経験する冬の真っ白な世界の閉塞感と孤独に、心が押しつぶされそうな日々を過ごしました。厳しい冬のただ中にあると、この虚無で孤独な世界がいつまでも続くと感じ、苦悩してしまうものです。

 しかし必ず冬は終わり、色とりどりの命が芽吹く春がやってきます。酒田にきて6年目には、初めて地元の方がバプテスマを受けました。今、冬が来ても心沈むことはありません。春は必ず来ることを確信できるからです。

 

さて、キリスト教の中心は主イエスの十字架と復活。十字架の苦しみは、神による復活の喜びへと至る道筋でありました。この福音を信じるとき、わたしたちの人生の苦悩の意味は変わります。

 この度は、大井バプテスト教会の特別伝道集会に招いていただき心から感謝します。そして礼拝の中で「いま振り返ってみれば」というわたしの曲を歌ってくださると伺い、恐縮しています。この曲は酒田に来て4年目に作った信仰の歌です。「今が、どのような時であろうと、主はそばにおられる」とただそれだけを歌う曲です。それが今回の特別伝道集会のテーマなのです。

(日本バプテスト連盟酒田のぞみキリスト伝道所牧師)