ひとりからふたりへ  加藤 誠

ルカによる福音書11章には「主の祈り」(11・1~4)に続いて、イエス・キリストが弟子たちに教えられた興味深い譬え話が記されています

 

そこには真夜中に必死に家の戸をたたく二人の人が登場します。一人はお腹を空かせた旅人。もう一人はその旅人に起こされた人。この人自身はお腹を空かせているわけではないのですが、旅人に提供するパンがないので、隣家の戸を必死にたたいているのです。「何時だと思ってるんだ!」と叱られながらも、あきらめることなく頭を下げてお願いをし続けます。考えてみたらおかしなことです。この人は、最初に旅人が訪ねてきたときに断ることもできたはず。「申し訳ないが、あいにく我が家にはパンがない。ほかをあたってもらえないか」と。でも、彼は戸を開けて「出会ってしまい」、真夜中に一緒に外に出ていって、自分も戸をたたく者にされたのでした。

主イエスはそんなふうに、「ひとりの祈り」が「ふたりの祈り」にされて、彼らが「ひとりからふたりへ」、共に祈り、戸をたたく者に変えられていく出来事を引き合いに「求めよ、探せ、門をたたけ。そうすれば、天の父は必ず必要なもの…聖霊を与えてくださる」(11・9~10、13)と言われたのでした。

 

人間が生きるためには「三つの窓」が必要だといいます。一つは「天窓」(自分が生かされている意味を考える窓)、二つ目は「底窓」(自分自身の心のうちを見つめる窓)、三つ目は「横窓」(一緒に生きるように招かれている人たちに向かう窓)。今朝は主イエスが私たちに指し示しておられる「三つの窓」について、聖書からご一緒に聴いていきましょう。