しかし、神の言葉はつながれていない   加藤 誠

幼稚園の夕方のページェント後、すっかり暗くなり冷たい風が吹き抜ける園庭でローソクの光を手にした子どもたちと一緒に輪になり賛美しました。教師たちが最初の歌い出しを口ずさむと自然に子どもたちの声が加わっていきます。その光景に静かな感動を覚えながらクリスマスの意味を知らされました。「子どもたちは暗闇の中でも神さまに賛美する歌をその心にいただいている。キリストは、どんなに闇が深く冷たい風が吹き抜けても、決して消えることのない灯と賛美を手渡すために来てくださったのだ。」新しく歩みだす一年がどのような日々になるとしても、インマヌエルの主を通して私たち一人ひとりに確かに手渡されている喜びと希望を見失うことなく歩みたいと願います。

2014年「今年の漢字」には「税」が選ばれました。切実な庶民の実感がそこに現れています。が、ある人は「忘」を挙げていました。大切なものが次々に忘れ去られていく。七十年前の敗戦の意味、平和憲法に込められた祈り、震災被災地の痛み、あれだけ大きな原発事故を起こした責任などなど。先の国政選挙では「この道しかない」と強弁する政党が「圧勝」し、その「忘」が加速度的に進むことを非常に危惧します。
「イエス・キリストのことを思い起こしなさい。…この福音のためにわたしは苦しみを受け…鎖につながれています。しかし、神の言葉はつながれていません。」(第二テモテ2・8~9)。
人間の権力は「この道しかない」と人々の心を鎖につなげようとしたとしても、私たちはインマヌエルの主から目を離すことなく、神の愛のもとに人を人たらしめる福音にしっかりと根差していきたいのです。