福音の成長   加藤 誠

「あなたがたにまで伝えられたこの福音は、世界中至るところでそうであるように、あなたがたのところでも…実を結んで成長しています」(コロサイ1・6)

 

 鹿児島の伊集院教会で特別集会の奉仕をさせていただきました。麦野達一牧師のお連れ合いは元大井教会員の大谷加恵さんで、そのご両親の大谷凱基・渡洋子夫妻も九年前に転籍されたので、教会名をご存知の方も多いことでしょう。

伊集院は日置市の一部で、人口は二万四千人余り。今から八十七年前の一九三〇年に麦野七右衛門牧師が伝道を始められました。麦野先生は西南学院の英文科時代に入信し、神学科に入り直して牧師を志した方です。「なぜ伊集院だったのですか?」と第二代牧師の麦野賦先生(現在は引退)に尋ねたところ、「卒業間近に電車の中で再会した恩師に『伊集院はザビエルが伝道を始めた場所だ。この町で伝道してはどうか』と勧められたから」だったそうです。その恩師の一言で七右衛門先生は誰も知り合いのいない小さな町にやってきたのでした。スタートは馬小屋を借りての集会だったそうです。やがて付属幼稚園を通して伝道が進展し、伊集院教会は何人もの献身者を輩出してきました。現在は教会員が約六十人。土曜日のファミリコンサートは教会聖歌隊や教会員有志、フラ賛美チーム、幼稚園児やお母さんたちのゴスペルチームなども出演し、実に多様な賛美あふれる温かな集まりとなりました。

 わたしにとって伊集院は、三十年前に西南神学部の賛美グループで初めての夏期伝道で訪れた思い出の地です。夜八時にもなれば暗闇に包まれる小さな町は東京とは対照的な土地ですが、こんなふうに教会と幼稚園がしっかり地域に根づいて礼拝堂に明るい賛美があふれている。伊集院という土地を愛し、主の教会に仕える人びとがここにいる。イエス・キリストが起こしておられる「福音の成長」を目の当たりにし、大きな励ましを受けた二日間となりました。