巻頭言「ありのまま感謝 広木 愛 」

 熊本県の人吉出身の祖母の遺品の中から出てきた一枚のメモ。

  「ありのまま感謝」。

 先日の球磨川の氾濫のニュースを見てから「何十年に一度の大雨」が毎年のように起こっている現実の中で、旧約聖書のノアの物語をどのように読めばいいのか、考えさせられています。

 神さまがおられても、わたしたちが住むこの地上では洪水だって、台風だって、地震だって、戦争だって起こるし、予想外のウィルスが猛威を振るいます。神さまがすべてを司っておられるなら、こんな状況を一瞬にして無くしてほしい。いつの時代でも、命の危険と向かい合いながら私たちは生きるしかないのだろうと思います。

 洪水の後、ノアたちは、箱舟から降りるかどうか、思案していたのでしょうか。ノアたちは、たしかに命は守られました。でも、洪水の後の世界に不安がなかったわけではない。それでも、洪水の後には、礼拝をささげたノアたち。今、置かれている場で、今、命が備えられていること、そして主を賛美することができることに感謝をささげていたのだろうと思います。

 「ありのまま感謝」はとっても難しいけれども、過去や未来を比べて、今の目の前にある不安におびえて、じっとしていても、何も始まらないのだろうなぁと思います。ノアが、神さまから「箱舟をつくりなさい」と言われて、箱舟を造り続けたように、そして、すべてが流された後、それでも、主に感謝の礼拝ささげたように、あの夏から75年目の夏を迎えたわたしたちが「今」おかれている場で、神さまの恵みに、「ありのまま感謝」しつつ、主の平和のために仕えてまいりましょう。