豊かな実を結ぶ   加藤 誠

主イエスがわたしたちに熱く呼びかけ祈られたこと。それはわたしたち一人ひとりの人生が「豊かな実を結ぶ」ものとなることです(ヨハネ15章)。

「豊かな実を結ぶ」とは、どのような人生を言うのでしょう。たくさんの財産に恵まれることか、人々から称賛される何ごとかを成し遂げることか、あるいは世のため人のためとなる事業を成功させることか。それに対して主イエスははっきりと言われました。「豊かな実を結ぶとは…神の喜びがあなたがたのうちに満ち、神の愛を知った者が互いに愛し合うこと」だと(同15・11他)。

 

『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか』(アレン・ネルソン)という本は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが自らの体験を描いた小さな本です。戦場に兵士として駆り出され、人の命を奪う「殺人マシン」となることを強いられた若者が、どのようにして自らの人間性を崩壊させ、苦しむことになるか。アレンは兵士として武勲を挙げ国家から四つの勲章を受けますが、その代償として多大な苦悩を背負うことになります。彼は帰還後、毎晩悪夢に苦しめられ、自らの暴力を制御できなくなり、家族を失うのです。しかし、そのアレンを小学生の子どもたちとの出会いが救います。苦しむアレンを抱きしめ涙を流してくれた子どもたちの愛に触れた時、彼は真実と向かい合い、ふつうの生活を取り戻すための勇気を得て、新しい一歩を踏み出していくのです。

 

人間を崩壊させ苦しめるものと、人間の深い傷を癒し立ち直らせ、豊かな実りを結ばせるもの。わたしたちを神の愛に結びつけ、豊かな実りに導くために来てくださった主イエスの言葉に、今朝も聴いていきたいのです。