福音の力~希望の灯~   加藤 誠

今週十二月五日は、大井バプテスト教会の「バプテスマ七十周年」です。
一九四八年のこの日、大谷賢二牧師をはじめ「日本宣教会滝王子教会」の教会員たちは、多摩川でエドウィン・B・ドージャー宣教師からバプテスマ(浸礼)を受けて、バプテスト教会としての歩みを始めたのでした。
『大井バプテスト教会五十年史』によると、戦後、教会の伝道を支援してくれた米軍兵士の多くが米国の南部バプテスト教会の出身者であり、彼らを通してバプテストの信仰を鮮やかに見せられた教会員たちは、しばらくの学びと討議の末、日本バプテスト連盟への加入を決議します。

「ただ、ここに至るまでに忘れてはならない事柄がある。連盟への加入問題を討議する教会総会の席で、飯田とめ姉(一九五二年召天)が謙遜に、しかし実に鋭く議長の平野兄に向って『もし教会堂や牧師館を頂けるということが先行して、連盟加入を決定するなら私は反対します。』とキッパリとした態度で発言したことである。土地を買う苦労をしたばかりの私たちにとっては、教会堂や牧師館が与えられることへの魅力は、隠しがたい事実だったからである。しかし、伝道の意気に燃えた日本バプテスト連盟に加入し、兄弟教会の励ましが欲しかったのは、それ以上の事実であった」(『五十年史』三十頁以下)。

日本バプテスト連盟そのものが、南部バプテスト諸教会の篤い祈りと献金で生まれた協力伝道体です。祈りと励ましを届け合い、協力して伝道者を育て、世界伝道の働き人を派遣する。初代教会のパウロたちが手紙や祈り、献金を届け合い、すべての人に福音を伝える希望に向けて歩んだように、大井バプテスト教会誕生の背後に篤くささげられてきた祈りを改めて心に刻みたいのです。