神の賜物    加藤 誠

『虹色のチョーク』という本を通して、国内での販売シェアのトップを行くチョーク製造会社でありつつ、全従業員八十人の約七割が障がい者というN社のことを知りました。工場では、従業員たちが誇りをもってチョーク製造に打ちこみながら、笑顔と活気にあふれた会社だといいます。

N社が約六十年前に障がい者を雇ったきっかけは、養護学校の先生の熱意に動かされてのこと。それ以来、「障がい者に働く幸せを教わった」という現会長の大山さんはこう語ります。「障がいがありながらも懸命に働く社員から、他には代えがたい幸福を授けられます。人が人を気にかけ、力になりたいと素直に思います。また、人間に役割はあっても優劣などないと気が付けます」。

ある時、N社の工場見学に来たA学院初等部の男の子は、次のようなお礼状を書いてきたそうです。「ぼくはチョークのできるまでを学んでいるうちに、天の神様は、人間の一人ひとりに賜物を与えてくださっているのだと思いました。ぼくも工場で働いている人たちに負けないように、何でもいっしょうけんめい頑張ろうと思いました」。

 

使徒言行録八章に「魔術師シモン」の話が出てきます。シモンは魔術を使い「偉大な人物」と自称している男でしたが、ペトロたちの目覚ましい癒しの奇跡を見て、その力を「金で買わせてほしい」と申し出るのです。するとペトロが一喝します。「この金は、お前と一緒に滅びてしまうがよい。神の賜物を金で手に入れられると思っているからだ。お前はこのことになんのかかわりもなければ権利もない。お前の心が神の前に正しくないからだ」(使徒8・2021)。

子ども祝福式の今日、神の賜物とは何かを聖書からご一緒に聴きたいのです。