無名の少女の信仰   加藤 誠

「この人は勇士であったが、重い皮膚病を患っていた。」(列王記下5・1)

アラムの軍司令官ナアマンは「勇士」として名をはせた人物でした。しかし、「勇士」であってもどうにもできない「不治の病」(ハンセン病)があります。病状がこれ以上進行すれば軍司令官の地位と名誉のすべてを失うことになる恐怖は、日々ナアマンの心を深く悩ませたことでしょう。

そのナアマンの心に一筋の光をもたらしたのは、「預言者エリシャは真の神に仕えている方。ご主人様の重い皮膚病もきっと癒してくださるでしょう」という戦争捕虜の少女の言葉でした。ナアマンは「敵軍の捕虜の、こんな小娘の言葉にすがるのか…」と葛藤を覚えたに違いありませんが、日頃の少女の振舞いには「彼女の言葉は十分信頼に値する!」とナアマンの背中を押すものがあったのでしょう。結果として「勇士ナアマン」は「無名の少女の信仰」を通して、真の神との出会いに導かれていくのです。

 

二つのことを考えます。一つは、大人たちの行きづまりを打ち破っていく無名の少女の信仰。もう一つは、この少女の真っ直ぐで、家族と引き離され敵地に捕えられてもブレることのない告白は、どのように育まれたのだろうということ。そして、イエス・キリストの告白に生きる教会は、この無名の少女のようでありたいと思うのです。

今日わたしたちは大切な総会を開きます。もう一人の牧師を招いてますます信徒一人ひとりの信仰告白が活き活きささげられるバプテスト教会になりたい。これからの世界を生きていく若い年齢層のメンバーが聖書で力づけられる教会でありたい。祈りを合わせ、協議し、教会としての決断に導かれたいのです。