平和の福音の備えを足に~スチュワードシップの学び「あけぼの幼稚園」~   加藤 誠

 アジア太平洋戦争の焼け跡が生々しい時代に、初代牧師の大谷賢二先生は「あの愚かな戦争を止められなかった深い反省」に立ち、「聖書が示す愛と平和、正義に立つ人材の育成」を祈り願い、大井バプテスト教会は附属あけぼの幼稚園を設立しました。この六九年間、たくさんの子どもたちの成長を見守りながら、地域の人々と大切な交わりをいただいてきたことは大きな恵みです。

 

 先週、NHK『プロフェッショナル』で放映された絵本作家かこさとしさんの生き方に問われました。「子どもたちをあなどってはいけない。かつての戦争に協力しながら、戦後『じつは戦争には反対だったのだ』とシャアシャアと語りだしたおとなたちがいた。わたしも同罪。そのおとなたちをじっと見てきた子どもたちに、どう償うことができるのかをずっと考えてきました」と語るかこさん。子どもたちの意欲や反応を引き出せる絵本になりえているかを常に問い、絵の細かい部分にもウソがないように手抜きをしない。若い編集者にも丁寧な言葉でアドヴァイスを求め、もし力不足な作品と判断したら、せっかく描き上げた作品もボツにする。九十二歳になってなお子どもたちの前に誠実であり続けようとする、かこさんの真摯な姿に深い感銘を覚えました。

 

 ここ最近、「事実」をねじ曲げ、書き変え、誤魔化そうとするおとなたちの姿が人々の目にさらされています。しかし、それはわたしの姿でもないのか。「平和の福音の備えを足にはき」(エペソ4・15口語訳)とは何を問いかけているのか。今朝、共に聖書に聴きたいのです。