巻頭言「これはわたしの愛する子 加藤 誠 」

 先週の日曜日、ルワンダの佐々木和之さんから嬉しい動画が届きました。ルワンダも感染対策のために大学や教会の礼拝が休止されているようですが、佐々木さんの教えているPIASSの卒業生で平和構築を学んだコンゴ人学生デヴィット・ニリンガボさんが日本語の賛美を動画にしてくれたのです。ギター片手に「神と共にある、はじめの言葉 イエス・キリスト…」という歌詞で始まる素朴な賛美に心が慰められ励まされました。「日本人がアフリカに留学したり、アフリカ諸国の人々が日本に留学して交流が始まるとこんなことが起こります。ハレルヤ!」という佐々木さんのコメントを読みながら、十五年前にルワンダの和解を祈り始まった佐々木さんの働きが、このように国境を越え、遠い国の人々の苦境を覚えて祈り、賛美を届け合うつながりに大きく育てられてきていることに大きな希望を覚えたのです。

 世界には、新型コロナウィルスの感染対策を「戦争」と呼び、自ら「戦時中の指揮官」として振舞ったり、他国を非難することで国民の不満を誤魔化そうとする指導者がいる中、ドイツのシュタインマイヤー大統領は「感染症の世界的拡大は戦争ではない。国と国、兵士と兵士が戦っているわけでもない。私たちの人間性が試されている」と語りました。

 苦難や試練は私たちの人間性をあらわにします。わたしがいったい、どの程度の人間性をもった存在なのか、その貧しい正体をあらわにします。それに対して、十字架に向かうイエス・キリストの姿に明確になった「真の人間性」を聖書は証ししています。「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」(マタイ17・5)と。今朝もこの方に聴いていきましょう。