一人ひとりの取り組み、教会の闘い  加藤 誠

昨年手にした本の中で最も衝撃を受けたのは、ルワンダ大虐殺を奇跡的に生き延びたイマキュレー・イリバギザ著『ゆるしへの道』です。一人の人間が背負うにはあまりに過酷な日々を生き延びて、生き残ってしまったがゆえの苦しみに何度も押しつぶされそうになる彼女を、信仰の交わりが支えます。「神はルワンダを見捨ててはいないよ。イマキュレー。虐殺の間、ずっと神はここにいらして、被害者一人ひとりの痛みを感じておられた。いまもここにおられる。傷ついた人、見捨てられている人、悲嘆している人と共におられる。確かにいまルワンダは醜いけれど、神の美しさはいまでもここに息づいている。愛のうちに見いだすんだ。すべての愛はほほ笑みから始まることを忘れないで…」。

今から二千年前、あの十字架の絶望を経験した人々を再び立ち上がらせていった福音が、いまルワンダに生きる人々を支えています。福音の真実に生かされながら癒しと赦しに導かれていくプロセスを、イマキュレーさんはこう語ります。「わたしは特別なわけではない。みんなと同じように、わたしはいまでも苦しみや不安、怒りと闘っています。…この闘いを通じて、これまででもっとも重要な教訓を学びました。それは『信じる』とは一度きりのものではなく、生涯をかけてまっとうしていくものだ、ということです」。

 

日々主イエスを信じる歩み。それは生きる限り最期まで続く、その日その日の闘いです。一人ひとりが取り組み、生涯をかけてまっとうしていく闘いです。それはしかし孤独な闘いではなく、互いの歩みを覚え合い、一緒に祈る友とされていく、教会の闘いであることを覚えたいのです。この新しい年もインマヌエルの主と共に、互いに教会に集い合いましょう。