あなたに伝えたい    加藤 誠

「あなたの信仰があなたを救った」。

主イエスは、切実な願いを抱えてやってきた人々にこの言葉をかけています。普通に読むなら「あなたの神に対する熱心な信仰があなたを救った(癒した)」という意味に理解される言葉ですが、どうもそれだけではない、別の意味が込められている気がするのです。

 

ルカ福音書で主イエスがこの言葉をかけているケースを見ると、「安心して行きなさい」、「立ち上がって、行きなさい」と、最後に彼女・彼らを励まし送り出すと同時に、この言葉を語っている点に目がとまります(ルカ七章「町の人々から罪深い女と呼ばれてきた女性」、八章「十二年間出血が止まらない女性」、十七章「重い皮膚病のサマリア人」)。いずれも、当時の正統派ユダヤ教から「信仰がない、救いようのない、神から見放された存在」とダメ出しされていた人たちです。

 

しかし、主イエスはその一人ひとりに「あなたの信仰があなたを救った!」と人々の前で明言することで、次のような熱い励ましを伝えようとされたのではないでしょうか。

「わたしはあなたに伝えたい。周りの人々がどう言おうと気にするな。あなたにはちゃんと信仰がある。わたしが保証する。その信仰を神はしっかり受けとめてくださっている。だから、これからは胸を張って堂々と、神さまの恵みを握りしめて安心して歩んで行きなさい」と。